こうもあちこちに自分のアカウントを登録することになると、大変になるのが
「パスワードの管理」
じゃないかと思う。
アメリカのセキュリティ企業が発表した「最悪のパスワード100」には、おなじみの
【123456】
【abc123】
みたいな日本人でもよく使いそうなパスワードがランクインしている。
一方で、
【letmein】
【iloveyou】
みたいな日本人ではちょっと思いつかないようなパスワードなんかもあるらしい。
この最悪パスワードのランキング元が、
「ホンモノの漏洩したアカウント情報」
だというから驚きだ。
もしかしたら43%ぐらいは、
「恋人の名前」や「愛人の名前」、「不倫相手の名前」
をパスワードの一部にしている輩がいるんじゃないかな。
分からんけど。
それにしても、この時代を生きる人間たちにとって、
「パスワード」
というのは、無用の長物でありながら、不可欠なものでもある。
覚えておいても得なことはないのに、忘れるわけにもいかない。
こんな笑い話がある。
民間の多種多様なサービスで配られるポイントカードの登録情報やお気に入りのWebショップの登録情報、果ては普段使っているGmailや通信会社のキャリアメールのパスワードまで、ありとあらゆる自分のアカウント情報を”紙”に書いている人がいた。
ご丁寧にパスワードまで一言一句である(これらのパスワードが全部同じなのかそれぞれ違うのかは分からない)。
その人は、その紙を丁寧に4つ折りにし、それ用に購入した小さいカードケースの中にしまっていた。
このカードケースをどっかになくしてしまった。
という単純な話ではない。
「アカウント情報の紙」を入れておくために購入したこのカードケースは、本業とは別に作ってある名刺を入れるために「急遽」使用されることになった。
もちろん、そう決めたのは本人である。
この時点で、とりあえず財布の普段全く使わないポケットに一時的に入れておいたことを
後々すっかり忘れていたらしい。
どっかにしまったはずだが、思い出せない。
”もし、あんな紙を落として拾われでもしたら大変なので、パスワードは全部変更したし、アカウントを作り直したところもあるんです。”
その人は、追い詰められた犯人がうつむき加減で声を絞り出すかのように、
無念の表情を浮かべながら話してくれた。
新しい財布に買い換えたら例の紙が見つかったと連絡がきたのは、
それから一週間くらい経ってからだった。
IDやパスワードは、やはり自分の脳の中に置いておくのが一番だと思う。
「このサイトはこのIDとパスワード」
「あっちのショップはこのメールアドレスとパスワード」
と言う情報をクラウドストレージ上に「そのまま記載している」人がいたが、それもやめた方がいいと思う。
よそ様が管理している保存領域なぞ、いつどんな理由でデータが流出するかも分からない。
所詮は、自分の記憶だけが頼りなのだ。
全く参考にしてほしくないが、自分が持っている80近くある各登録サイトのアカウントやパスワードはこうやって管理している。
パスワードは、自分が使う5つ前後は完全に記憶する。
もちろん、自分に関係のあることも含まれるからそういう意味での覚えやすさは多少あるが、
油断すると忘れるぐらいの長さではある。
IDやメールアドレスは、それほどシビアにならなくてもよい。
メールアドレスは、「自分のGmail」とか「hotmailのエイリアス」とか
直接書くなら「〇〇□aaa.com」のように、「@」は絶対に書かない。
IDが5つのパスワードの一部と被るようなら別だが、それ以外は直接記入する。
そして、
「このサイトは1番目のパスワード」
「この公共料金は4番目のパスワード」
と言う情報をクラウドストレージで保管している。
先程のIDが少し被る場合は、IDにも「2番目のパスワードの数字だけ」という感じで記入しておく。
これで万が一、クラウドストレージがポシャってしまったら、それはあきらめるよりしょうがない。
ただ、これを仮に印刷しておいて財布の中にしまっておけば、例え財布を落としたとしても拾った人は何のことだか分からない。
むしろ、財布そのものの被害の方が大きいだろう。
何かに書いておかなければ不安だ、と言う方も
書き方を少し変えるだけで、安全性も格段に違ってくるのだ。
IDやパスワードなどの個人情報紛失を”死”と思う人がいれば、
逆に”解放”と考える人もいる。
どちらにしろ、あなたと隣り合わせに存在しているそれらは、もう少し技術が発展するまでは、おそらく一生付いて回る問題なのだ。
こんな情報化時代を生きているからこそ、
せめて愛人の名前が流出することのないように、普段から自己管理には採算の注意を払いたいものである。