某雑誌で企画されていた東京都の都市を除いた都道府県の都市別ランキングが実に意外だった。
「貯蓄」、「文化」、「教育」、「犯罪発生率」など各統計資料を元に分析し、最終的に各都市をランキングしたものである。
よくある都道府県別の魅力度ランキングなどと違い、魅力だけではいつも下位に沈むような都道府県に属する都市もランキングに加わってきた。
【年間所得】
1位:横浜市
2位:さいたま市
3位:川崎市
4位:福岡市
5位:相模原市
2人以上の世帯を対象にした「金持ち」ランキングは、ある意味予想通りだと思う。
「2人以上」ということは、夫婦や子持ちの家族が対象となる。
こうなるとやはり東京都で働き、ベッドタウンで暮らしている世帯はやはり収入が高い傾向にあるようだ。
元埼玉県人であるわたくしもよく耳にしたのが、「埼玉都民」という言葉である。
文字通り、平日日中のほとんどを都内で生活しているが、寝る場所(家)は埼玉であるサラリーマンや公務員を指す言葉だ。
「年間所得」では、1位から5位までの内、4つが関東となる。
東京都の周りの政令指定都市が軒並み顔を揃えた。
神奈川県だけでどれだけ所得があるんだ、と言う話である。
ここで意外だったのは、4位の福岡市・・
ではなく、千葉市が5位以内に入らなかったことだ。
千葉市は、6位の岡山市に続く7位である。
横浜市や川崎市と同様、都内への通勤電車の便がいい千葉市なだけに、埼玉都民よりも千葉都民の方が多いと思っていた。
【貯蓄】
1位:横浜市
2位:千葉市
3位:神戸市
4位:さいたま市
5位:川崎市
ところが、「貯蓄」ということになると、千葉市は2位に躍り出る。
あまり無駄遣いをしない、という県民性が出ていると思う。
そして、「貯蓄」の1位も横浜市である。
富裕層が多く、無駄遣いをしない。さすがに人口300万を超える大都市である。
【図書館の数】
1位:浜松市
2位:新潟市
3位:さいたま市
4位:北九州市
5位:静岡市
【子供の学力】
1位:仙台市
2位:さいたま市
3位:静岡市
4位:神戸市
5位:札幌市
続いて「文化」では「図書館の数」と「子供の学力」がランキングされていた。
人口10万人あたりの図書館の数が2館を超えていたのは1位の浜松市と2位の新潟市だけである。
浜松市には日本唯一の公立の楽器博物館もあるので、文化振興に力を入れているという事だろう。
子どもの学力に力を入れている仙台市は、文科省が発表している全国学力テストの平均値で1位を取っている一方、「図書館の数」は17位と奮わなかった。
教育に力を入れている埼玉県としては、さいたま市の2位は順当、
”1位じゃないのか”というところだろう。
ここでようやく5位に札幌市が入ってきた。
クラーク博士も一安心だと思う。
【犯罪認知件数(少ない順)】
1位:横浜市
2位:川崎市
3位:浜松市
4位:熊本市
5位:静岡市
「犯罪認知件数」は、人口10万人あたりで市役所や警察から発表されている件数である。
つまり、通報されていない事件はカウントされていない、ということである。
これは20位が大阪市、19位が名古屋市と日本で3番目に人口が多い大阪市と4番目に多い名古屋市がワーストワンツーフィニッシュとなっている。
やっぱり人口が多い市は犯罪も多い・・・
と思ったら、日本で2番目に人口の多い横浜市が見事に1位で一番少なかった、ということだ。
そして、2位は、正直埼玉にいる時は犯罪の多いイメージのあった川崎市だった。
つまり、一定水準の富裕層が多く暮らす都市なのに、犯罪が少ないという事になる。
治安が悪いと言われていた相模原市も7位とそこそこの上位に食い込んでいるところを見ると、神奈川県の3つの政令指定都市は非常に住みやすい場所なのではないか、と思う。
犯罪の少ない率は、同様に静岡県の2大都市である浜松市と静岡市がそれぞれ3位と5位に食い込んでいる。
【長生きランキング(男性)】
1位:熊本市
2位:仙台市
3位:浜松市
4位:横浜市
5位:京都市
【長生きランキング(女性)】
1位:岡山市
2位:熊本市
3位:福岡市
4位:仙台市
5位:川崎市
「長生きランキング」は、男性1位、女性2位の長寿が熊本市である。
震災以降の復興も早く生活水準が高い上、郷土料理や温暖な気候の影響で長寿である、ということだ。
一方で、両方とも20位と最下位になってしまったのが、大阪市
両方とも18位になってしまったのが堺市である。
ヒョウ柄のおばちゃん達がもの凄く元気なイメージがあるが、犯罪認知件数が最下位である大阪市は、それにも引っ張られたのか大都市特有の医療施設が整っているにもかかわらず、こういう結果になってしまった。
スペースの都合で順位を全部載せることができないが、
上記のカテゴリーに絞ったランクであれば、おおむね東京都近郊は順位が高いような気がする。
「都会を離れて田舎暮らしがしたい」という話も多いし、そういった特集が組まれることもあるが、
この結果だと、むしろ東京都近郊を否定することは中々できないかもしれない。
全体的に見ると、静岡県も暮らしやすそうだ。
二大都市が住みやすいのに加え、関東、関西へのアクセスも良く、
地価が低いため、「ゴミゴミした都会を離れる」意味では、静岡県は十分視野に入るだろう。
地場だと関係なくなるかもしれないが、伊豆半島の観光地なども魅力的である。
残念ながら、大阪2大都市は、全体的にもランクが低くなっている。
お金をパーッと使い、学力も低く、犯罪が多くて長生きできない…。
上記のカテゴリを順番に並べてみると、ちょっと恐ろしい文章になってしまい、
府民の方々には恐縮だが、数字というのは正直である。
でも、わたくしのような関東で育った人間が、関西に遊びに行くとやはり、
あの独特な賑わいや人情は、やはりステキな街だと思ってしまう。
その大阪から近い京都市は、土地柄である外国人観光客の多さゆえ
全体的な物価の高騰で、イマイチ住みづらくなっているそう。
外から見る京都は美しく、観光地としては魅力があるが、実際に住んでみると・・・
ということである。
さて、最後に今わたくしが暮らしている北海道の代表札幌市は、全体的なランクは大阪よりは多少ましなぐらいとなってしまった。
観光客はどこも多く見られるが、北海道自体に元気がない。
年々人口は減少し、土地は中国の富裕層に買い占められ、ニセコ・倶知安の土地が高騰しているも元からそこで暮らす人々には何の恩恵もない。
その打開策が札幌オリンピックの誘致かもしれないが、まずはその土地のブランドにより、道民が元気にならないことには、何も始まらないだろう。
最後に、全体の栄えある1位として君臨したのが
「さいたま市」であった。
自分が居た時には、さんざん「ダサイ」と言われ続けたのに、分からないものである。
観光などの県としての魅力は薄いかもしれないが、実際に生活する場所として
”住みやすい”
と思われたことは、非常にうれしく思う。