令和元年10月1日からの消費税増税とともに「軽減税率」と「キャッシュレス・ポイント還元事業」が始まってから、早2ヶ月ちょっと経ちました。
元々、スーパーで購入する食品などは税率8%で据え置きだったにもかかわらず、
増税前の駆け込みで、多くの人が家電製品などの購入に走ったのと同じように、スーパーへの食材購入にも多くの人が訪れたように見えましたね。
”お酒は、食料品と違って軽減税率の対象外だから、増税前にたくさん買っておこうと思って・・”
と軽減税率の仕組みを理解している人がどれだけ各スーパーにいたかは分かりませんが、
8%と10%の住み分けが複雑だった今回の増税は、購入者側にとっても少なからず混乱を伴う制度変更となったのは事実でしょう。
一人暮らしで外食やコンビニなどで済ませてしまう食事が多い人は、
家で食べる場合は、軽減税率適用
外で食べる場合は、標準税率適用
のように覚えたかもしれません。
この軽減税率は、もちろんサービスを提供する側や物資を販売する側にとっても面倒くさいものが多いのです。
経理上のお話はもちろんですが、売上金額によって消費税を納税していない業者(免税事業者)でも軽減税率対象の仕入れなどが発生する場合は、消費税の住み分けをきちんと記帳する必要があります。
さらに、中小企業の小売店やサービス提供でクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済を導入している場合は、消費者へ最大で購入額の5%(フランチャイズ店などは2%)が還元される「ポイント還元制度」もあります。
ということで今回は、この「キャッシュレス・ポイント還元事業」(以降、事業)についてのちょっとしたお話です。
経済産業省が音頭を取っているこの事業は、
消費者にキャッシュレスを浸透させるためのお得なポイント還元を実施するとともに、
カード決済を始めとするキャッシュレス決済を導入していない事業者側にも、決済方法の多様化を促すために決済端末の無償化や手数料の還元などを支援するものになります。
この事業に加盟するためには、「中小企業と認められた会社」
でなくては駄目なのですけれどね。
つまり、どの会社でも参加できるわけではない、という意味になります。
加盟するためには、一定の手続きを行う必要があり、
行っている事業によっては、登録免許証の提出なども必要となります。
うちも小さいながらサービス事業をしていて、消費者の利便性も考えて結構前からカード決済を導入していました。
ちなみに、カード決済会社は「スクエア」を利用しています。
スクエアを通じて、”キャッシュレス・ポイント還元事業に参加しませんか?”
とお誘いのメールが来たのが9月頃だったので、とりあえず申請をしました。
新しい決済端末が無料でもらえる点と決済手数料が安くなる点を考慮し、
面倒を感じつつも書類を提出したわけです。
もちろん、自分も消費者側に回って買い物をする場合もありますので、
QR決済などのキャッシュレスで割引されているときは、とっても嬉しく思うのですが
事業の加盟申請も経験した身としては、”お店側も面倒だったろうなぁ~”と複雑にも思うのです。
そんな買い物をする際に、よく見かけるようになった店頭での以下のデザイン。
事業に加盟している店舗には、たくさんのポスター類が、「ツール発送事務局」から送られてきます。
”こんなにいらないだろう・・(苦笑)”
というぐらい店頭に貼るチラシやレジに貼るシール、大判のポスターなど、大きいもの・小さいものがたくさん送られてきました。
加盟している事業者には、おそらく同じようにありとあらゆる販促ツールを送っているのでしょう。
では、実際にキャッシュレスがもの凄く進んでいるか・・・
と言われるとやはり首をかしげたくなりますね。
うちも圧倒的に現金決済の方が多いのです。
というのも、上に載せた画像をご覧頂いてもお分かりのように、これだけ
”消費者にはキャッシュレスだとお得ですよ”
”事業者の方は、決済方法を新しく導入するとお得ですよ”
と謳っている割には、「期間が短すぎる」のです。
(実際、キャッシュレスやらのポイント還元がなんとなくお得だと分かっている現金派も来年6月で制度が終了してしまう期間の短さを知らない、しばらく続くと思っている人が結構います)
この事業がしばらく続くのであれば、
ポイント還元や割引などでお得を感じた方が増えて、
決済方法を見直す事業者もどんどん増えて、
キャッシュレスが当たり前の世の中になるかもしれませんが、
やはり8ヶ月という期間限定では、ヨーロッパのキャッシュレス先進国のようには浸透しないかもしれませんね。
うちも、2020年の6月が終わったら、これらのチラシ類はどさっと処分して終りとなるでしょう。
確かに、慣れてしまうとQR決済や電子マネーでの支払いは楽ちんです。
楽な上に、お得感があればキャッシュレスの利用者はある程度は増えるかもしれません。
しかし、電気が止まった場合に使えなくなったり、情報が漏れそうで怖いなどのデメリットを上回るようなメリットをポイント還元や割引以上に消費者に伝えられなければ、やっぱり単純に消費税増税の目隠しにしかならないのではないかと思う今日この頃です。