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小さいながらも「法人」として会社を運営していると、色々な企業やメーカーから
「お知らせ」だの「ご案内」だのそれはそれは多くのメール、FAX、郵便物などが届きます。
中身については、ほとんど不要なモノばかりですが、
「案内そのもののレイアウト」だったり、「コンテンツの作り方」だったり違った意味で参考にすること(あら探しも含めて)は非常に多くあるので、一通りは目を通すようにしています。
しかし、中には詐欺まがいの案内が来ることもあるので注意も必要となるんですよ。
「うちみたいに小さいところ相手に何やってんだか…」
と思いますが、こういうのは当サイトのいい題材でもあるので、注意喚起の意味も含めて披露しておこうと思います。
目次
突然のFAX
さて、今回我が社に送られてきた1枚のFAX用紙がこれです↓。
一部マスクしてありますが、送ってきた相手の会社名や電話番号・FAX番号はそのまま晒しておきます。
案内の中身はどうってことはない、
「事業性資金の融資について」
ということになります。
一見、普通の資金融資の案内のようなので、ぱっと見は「ふ~ん」と思うかもしれません。
ただ、現在”本当に心の奥底から”融資を必要としている経営者にとっては、
「なぬっ!」
と思わず見返してしまう内容になっているのです。
それは、どこかと言うと・・・
「契約上限金額」と「融資利率」、「担保不要」の3つです。
送られてきたFAXに記載されていたのは、
・【契約上限金額:3,000万円】
・【利率:年率1.04%(固定)】
・【担保:不要】
でした。
これって、各金融機関相手に融資の相談などをしたことのない人だとピンと来ないかもしれませんが、経営者から見たら「まじかっ!」と思います。
なぜなら、
金融公庫で普通融資の相談をした場合、こちらから担保を提供したとしても3,000万円という金額をこんなに安い利率で借りることなどまずできないからです。
銀行や信金などは、さらに審査が厳しくなりますので、こんなFAX1枚で「簡単に融資をしてあげます」というのは、明らかにおかしいわけです。
ちなみに、わが社の200万円という資本金で、通算損益がまだ赤字の場合、運転資金で300万円ぐらいの融資をお願いしても、実際のところ、銀行はおろか金融公庫ですら相手にはしてくれません。
それが、”なぜ、おたくの会社はそんな資金をうちみたいな会社に提供してくれるの?”
という疑問が浮かんでしまうのですね。
ただ、現状で資金繰りに困っている経営者の方がこのFAXを見たらどうでしょうか??
FAXを返信するだけで融資が実行される、と言うのであれば・・・
つい、飛びついてしまう方もいるかもしれませんよね。
どのように案内FAXがおかしいと見破るか
さて、わたくしは自分のこれまでの融資相談などの結果やFAXの中身に書かれている数字から、すぐにこの融資の案内が「おかしい」ということに気がつきましたが、名も知れない会社からの「融資実行」という1枚のFAXが来た時に、まず何を疑っていけばいいのでしょうか?
この辺りについて、少しお話してみたいと思います。
貸金業者として登録されているか
当然ですが、このようなお金を貸す会社というのは「貸金業者登録」をしています。
つまり、登録のない会社であれば、それは「架空の会社をでっち上げている可能性がある」ということになります。
このFAXに書かれている会社の住所は、「東京都」になっています。
まぁ、詐欺をはたらく場合の架空の会社の住所はたいてい「大都市」にしてありますけどね(笑)
それでは、会社名を検索してみましょう。
東京都なら、「東京都 貸金業者 一覧」などというキーワードで検索すると、東京都が公開している貸金業者を一覧にしたファイルが表示されると思います。
また、「金融庁の登録貸金業者情報検索入力ページ」のようなサイトで、会社名などを検索してみます。
東京都だと登録されている貸金業者も多いので大変かもしれませんが、もちろん架空の会社はそこには存在しません。
金融庁の検索サイトにも当然ヒットすることはありませんでした。
会社のホームページは?
最近の架空会社はきちんとホームページまでそれらしく作っているようなので、ちょっと拝見してみます。
トップページでスライドしている画像は、某画像提供サイトで見たことがあるような画像ばかりですね(笑)
このページをざっと見て最初に気になったのは、何かというと・・・
「問い合わせがしづらい」
ということです。
送りつけてきたFAXには、「相談して」とか「連絡くれ」などと【電話番号】や【FAX番号】までご丁寧に書いてあるのに、一般に広く見られるはずのホームページには、これらの情報を一切載せていません。
問い合わせ方法は「メールだけか」と思ったら…..
問い合わせの箇所には「会員専用」の文字が。
ホームページ内には、ローン専用口座を作って会員になってもらったり、会員登録だけを行うような場所もないですからね。
つまり「問い合わせさせないようにする」常套手段なのでしょう。
さらに、FAXに記載されている資本金とホームページに出ている資本金の額があまりにも違いすぎますね。
どうして、このようにしているかは謎です。
まぁ、それらしく作ってはありますが、貸金業を生業としている会社にしては「???」と思うようなところが満載です。
会社の住所は?
次に、会社の住所を地図サイトで調べてみましょう。
「Googleマップ」や「マピオン」などで、FAXに記載されている住所を検索してみます。
すると・・・
「エトワールビル」というのは全く出てきませんね。
この住所は、「サンホリベル」という名称のビルが建っていて、地上6階だそうです。
あれっ?!
FAXには、11Fって書いてありますけど(笑)
そこまで調べない、と思っているのか住所はあまりにも適当すぎでした。
帝国データバンクに登録されているか?
ここまでくれば、もう完全におかしさ満点なのですが、最後に
「帝国データバンク」
も一応調べておきましょう。
「帝国データバンク」
言わずと知れた日本で一番の「企業を専門とする信用調査会社」となります。
どれだけ小さな会社でも、個人事業に毛が生えたような会社でも設立後にはその会社に出向いて企業調査をし、質の高いデータベースを構築している余りにも有名な会社です。
その昔・・・
中規模のIT系会社に勤めていたわたくしは、社長と一緒に「帝国データバンクのインタビュー」を受けたことがありました。
そして、最後に写真を撮られ「帝国ニュース」にその記事が載ったのですが、
訪問先の中規模会社の社長さんや、名だたる大企業の中堅クラスの役職の方、官公庁の方々など多くの取引先の方から、
「載ってたねぇ~、見たよ」
と言われ、帝国データバンクから取材された”重さ”を改めて思い知らされたことがありました。
・・と、少し脱線しましたが、この帝国データバンクの
「TDB企業サーチ」
を使えば、会社名と住所だけでも検索することができます。
どんなに小さい会社でも出てきますし、むしろ帝国データバンクに情報を開示しない会社の方が少ないでしょう。
貸金業を営む規模のような会社であれば、なおさらです。
はい、そんな会社は出てきませんね。
ということで、このFAXは裏紙行きとなりました。
甘い話はやっぱり疑ってかかった方がいい
というわけで、ひとまず詐欺FAX事件のお話は終了としますね。
ただ、本当に気を付けておかなければならないことがあります。
それは、「今回の融資額をそれなりの利率で受けられるかもしれない業績のしっかりしている会社」
は、最初にFAXを受け取った段階で「おかしい」と思わないかもしれない、ということにあります。
どういうことかと言うと、
うちみたいに、明らかに「この金額をこんな利率でしかも無担保で貸してくれるところなどあるわけがない」
と思っていれば、数値を見ただけで「怪しい」と思えるのですが、
これまでそれなりに融資を受けて、今の規模なら3,000万円くらい貸してくれるところがあるかもしれない、
と言う場合には、よく調べもせずに引っかかってしまう可能性がある、ということです。
今回、このFAXを送り付けてきた「インナー」という会社が、うちを始めとする各会社のことをどこまで調べているかは分かりません。
しかし、FAX1枚、メール1通だけで
「融資しますよ」
と言うのは明らかにおかしいですよね。
おそらく、電話なりFAXなりを返してしまうと、
「融資するまでに最初の手数料がいる」
などと、色々いちゃもんを付けて取るだけ取った後に”はい、さようなら”という手口なのでしょう。
むしろ、「おっ、この前銀行に断られた融資額と同じ額を貸してくれるんだ」
と思えてしまう経営者の方々は、本当に本当に十分注意してください。
そういえば、先程「事業活性化特別資金」というのが、万が一どっかの省庁などから本当に提供されているのではないだろうか…
と思って、検索してみましたが、当然そんな名前の融資枠は存在していないようでした。