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  • コラム
  • 最終更新日: 2019.09.19

ドラッグストアが着々と食品スーパー化・コンビニ化していく理由とは

今では、街中でちょこっと飲み物や食べ物を購入しよう、と気楽に立ち寄れるお店はコンビニエンスストアに限らなくなった。

コンビニでなければ食品スーパーか、と言われれば
そういうわけでもない。

そう、コンビニと併設されている店舗もすっかり多くなった
「ドラッグストア」
である。

日本全国には、ドラッグストアや調剤チェーンなど様々な業態の薬局がひしめき合っている。

何の因果か、現在私が暮らしている北海道に本社を持つ
「ツルハホールディングス」
は、2018年度時点で並み居る薬局・ドラッグストア達を押しのけて業界の売上高首位を走っている。
「ツルハホールディングス」が運営しているドラッグストアと言えば、北海道民にとっては「ツルハドラッグ」となるだろう。

北海道や東北の一部の居住者以外には、「ツルハドラッグ」という店名は馴染みがないと思うが、
関東圏の方の場合、「くすりの福太郎」という薬局名を聞けば
”あ~!あれかぁ”
と思っていただけるのではないだろうか。

「ツルハドラッグ(以下、ツルハ)」も「くすりの福太郎」も、「ツルハホールディングス」が運営するドラッグストアだ。
「くすりの福太郎」は調剤専門店あり

なお、数年前までは、以前私が住んでいた埼玉県では誰もが知る
「マツモトキヨシホールディングス」
が売上高首位を独走していた。

私が北海道に来るまで、その存在すら知らなかった「ツルハ」に
まさか北海道に来て3年ほどで、あの「マツモトキヨシ(以下、マツキヨ)」の売上高が「ツルハ」に抜かされてしまうとは思いもよらなかった。

私の生活圏内のドラッグストアが、売上高首位に立つのはただの偶然だと思うが、
この2つのドラッグストアは、医薬品を販売する店舗でありながら実は売上に貢献している商品は医薬品以外にもある。

例えば、冒頭のように
”飲み物を購入しよう”
と思ったとする。

コンビニに寄っても、ドラッグストアに寄っても同じ様に冷たい飲み物を購入できる。

コンビニの場合、自社ブランドで販売されている飲み物はブランド物よりは多少金額が安くなっているが、それでも税込みで100円を下回る商品はない。
100円以下でお茶やコーヒーを購入する術はない。

一方、コンビニより若干内容量が少なくなるとは言え、コンビニと同じブランド物の飲み物がツルハでは、税込み75円~90円くらいで販売されている。

なぜ、ドラッグストアではこれ程食料品を安く提供できるかと言うと、
その部分を薄利にしても、他で利益を確保できる品目があるからだ。

ツルハは、店舗によっては調剤を併設している店舗がある。
調剤とは、病院で処方された処方箋を元に患者に薬を提供する業務である。

この調剤と大衆薬(OTC医薬品)販売、そして化粧品販売による利益が軸となっている。
いわば食品の安売りは集客という役割を担っているだけだ。

ツルハの集客が食料品である一方、マツキヨが集客のために力を入れているのは雑貨となる。

ツルハ同様、マツキヨでは医薬品や化粧品が利益を確保する軸となっている一方で、
店舗への集客を担う雑貨もその利益率では全体の4分の1を占める。

マツキヨが出店している都市部では、飲食店やスーパー、コンビニが乱立しているため、
敢えて食料品で勝負をかける、という手はないのだろう。

福井県に本社を置くゲンキードラッグストアーズにはさらに驚かされる。

管理や加工などの違いから食品スーパーや総合スーパーでなければ販売が難しいとされている生鮮食品を販売しているのだ。
もちろん、自社で管理から配送までの一連の工程を稼働させる施設を整えての試みである。

スーパーやコンビニにはできない、調剤・医薬品販売という利益の軸を持ったドラッグストアが
食品スーパー化への後押しとなっているのだ。

それでは、逆にコンビニ側の立場で見てみよう。

ドラッグストアのように利益確保を見込める薬品販売には至らないのだろうか。

まず、調剤及び第一類医薬品販売には薬剤師が、第二類・第三類及びそれ以外の一般用医薬品の販売には薬剤師もしくは登録販売者が常駐する必要がある。
そして、これらの雇用は非常勤はNGとなっている。

つまり、正社員として薬剤師もしくは登録販売者を雇用しなければならないコンビニ側としては、医薬品を販売するために以下のような業態を取る必要がある。

1.登録販売者などを雇用しているドラッグストアとコンビニで共同店舗を出店する
2.ドラッグストアから登録販売者をコンビニに派遣する一体型店舗を運営する
3.コンビニ店舗が登録販売者を独自で雇用する

1のコンビニとドラッグストアの共同店舗は、薬剤師や登録販売者の雇用が人件費高騰で難しいコンビニにとっては、手っ取り早く医薬品を販売できる方法となる。

しかし、元々の店舗運営方針が違うコンビニとドラッグストアが同じ店舗内に同居する形はうまくいかず、この業態の店舗数は伸びていない。

2のドラッグストアがコンビニに登録販売者を派遣する一体型は、登録販売者を新たに雇用しなければならないドラッグストアにとって余計な人件費の負担となる。

結局は、コンビニが登録販売者を自ら雇用して医薬品販売を進めていくしかドラッグストアに対抗する道はない。

元々、登録販売者制度自体がスーパーやコンビニで医薬品販売を売りやすくする目的で誕生したのだが、
制度を生かしきれずつまづいたコンビニと制度を生かすノウハウを持っていたドラッグストアで差がついた形となってしまった。

コンビニの営業形態も登録販売者の確保を難しくしている。

現状、24時間営業が主体のコンビニでは登録販売者が24時間常駐する雇用形態は難しいだろう。

24時間という無休の場合、少なくとも1店舗で3人ほどは常勤(正社員)として雇わなければならないし、登録販売者に支払う高い給料はコンビニオーナーとしては頭の痛い問題ともなる。

ドラッグストアの営業時間と給与額で比較されてしまうとコンビニには勝ち目がないかもしれない。

コンビニ業界では、最近少し話題となった24時間営業の見直しを検討した方が、登録販売者の確保には繋がりそうだ。

一般用医薬品販売が、薬剤師もしくは登録販売者が常駐せずとも販売できるように規制が緩和されれば、コンビニにも活路が出てくるかもしれないが、その見通しは今のところなさそうである。

【参考】週刊ダイヤモンド9/14―薬局戦争

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