「LINE Pay」や「楽天Pay」そして「d払い」などの大手IT企業によるQR決済の比較は、以前にも当サイトで検証してみました。
今回は、前回ご紹介した大手IT系QR決済以外で、既存のQR決済サービスの比較、
さらにはこれから参入が予定される企業や銀行の決済サービス、などを色々とご紹介してみたいと思います。
支払方法で比較
多くのQR決済は、クレジットカードや銀行口座登録による、即時払い、前払い、後払いなどに対応しています。
各サービスの支払方法やタイミングを一覧にしてみました。
名称 | 支払タイミング | 支払方法 |
---|---|---|
Origami Pay | 即時払い 後払い |
銀行口座 クレジットカード(VISA、MasterCard、AMEX、JCB) |
pixiv Pay | 先払い 後払い |
PayPal コンビニで入金したポイント クレジットカード(VISA、MasterCard) |
pring(プリン) Pay | 先払い | 銀行口座からのチャージ (みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行、北九州銀行、東邦銀行) |
Pay ID | 即時払い 後払い |
住信SBIネット銀行の口座 クレジットカード(VISA、MasterCard) |
paymo | 即時払い 後払い |
じぶん銀行の口座 クレジットカード(VISA、MasterCard) |
はまPay | 即時払い | 横浜銀行の口座 |
YOKA!Pay | 即時払い | 福岡銀行、熊本銀行、親和銀行の口座 |
「先払い」がある「pixiv Pay」と「pring Pay」は、その方法に若干の違いがあります。
事前にコンビニなどでポイントを購入しておくのが「pixiv Pay」です。
クレジットカードを持っていない方や
VISA、MasterCard以外でPayPalに対応したクレジットカードを持っていない方は、この前払い方式で決済ができるようになります。
一方、「pring Pay」は「LINE Pay」と同様、銀行口座にお金を用意しておけば、
支払い時にその銀行口座からチャージされて決済となります。
現在、チャージできる銀行口座の数は増えてきていますので、今後は皆さんの身近の銀行でも利用できるようになるかもしれません。
利用した際の還元ポイントはある?
大手IT企業が提供しているQR決済は、購入者が利用すると利用料金によるポイントが還元されるようになっています。
「LINEポイント」や「楽天スーパーポイント」など、自分が普段貯めているポイントが還元されると、QR決済を利用する理由にもなりますよね。
他のQR決済サービスを提供している企業などの還元ポイントは、どのようになっているのでしょうか。
名称 | ポイント制度 |
---|---|
Origami Pay | なし |
pixiv Pay | pixivポイント |
pring(プリン) Pay | なし |
Pay ID | なし |
paymo | 友達紹介によるポイント(有効期限あり) |
はまPay | なし |
YOKA!Pay | 現金によるキャッシュバック |
販売者側が導入しやすいように整備されていますが、利用者側には目立ったポイント制度を導入していない所がほとんどです。
今後、利用できる店舗が増え、利用者数が増えていけば各ポイントとの連携も十分に考えられると思います。
利用限度額と支払いができるコンビニは?
QR決済は、1日の限度額や1回利用ごとの限度額を決めています。
クレジットカードを利用する時にもよく言われていたように、
「簡単に支払いができてしまう」
ということは、使いすぎる危険性もはらんでいるのです。
ここでは、各サービスが設定している限度額や支払いができるコンビニを見てみましょう。
名称 | 限度額等 | 利用できるコンビニ |
---|---|---|
Origami Pay | 1回に100万円未満 | ローソン |
pixiv Pay | 1回に3万円 | なし |
pring(プリン) Pay | 1回100万円 | なし |
Pay ID | 1回100万円未満 | なし |
paymo | 1回10万円まで、月に30万円まで | なし |
はまPay | 1日10万円 | なし |
YOKA!Pay | 1日10万円 | なし |
限度額は各サービスによってまちまちです。
1回の支払いで100万円近い支払いができるサービスもあり、大きい買い物も現金を持ち歩かなくても大丈夫と言えそうです。
ただ、現在のところ各サービスとも利用できる店舗は少ないので、今後の展開次第では、限度額の見直しなどもあるかもしれません。
コンビニへの浸透は、各サービスとも中々進んでいないのも現状です。
セブンホールディングスの動向が気になるところですが、今のところ大手3社と「Origami Pay」がローソンで利用できるぐらいで、これも今後の展開に期待したいところでしょう、
個人間送金は?
「LINE Pay」ですっかりおなじみとなった「個人間送金(割り勘)」ですが、
この機能を前面に推しているサービスもあります。
各サービスが展開している個人間送金とは、どのようなものでしょうか。
名称 | 個人間送金 |
---|---|
Origami Pay | なし |
pixiv Pay | なし |
pring(プリン) Pay | 個人間送金、割り勘 |
Pay ID | 個人間決済 |
paymo | 割り勘 |
はまPay | なし |
YOKA!Pay | なし |
「pring Pay」は、個人間でのお金のやり取りによる「コミュニケーション」に特長があることをうたっています。
対面している相手ともQRコードですぐに送金できますし、離れている相手でもアプリでお金のやり取りが簡単にできます。
「Pay ID」は、
「証明する内容と共に金額を相手にリクエスト」して、
「相手が承認してお金を支払う」
という手順を踏む必要がありますが、「Pay ID」ユーザーの間で代金決済をすることができます。
つまり、「割り勘」のようにスピーディーにお金のやり取りをすることはできません。
「paymo」は、「割り勘アプリ」とうたっているだけに、Facebook連携で友達との送金が簡単にできるようになっています。
LINEのようにメッセージと合わせてお金の支払いを個人間でできるのが特長です。
今後参入予定の企業の動向など
IT系企業などがサービス先行している「QR決済」ですが、遅ればせながら銀行系も虎視眈々と参入を伺う状況となってきました。
実際に、日本郵便は2020年2月から全国の郵便局の郵便窓口で、
「切手を買ったり」、「郵便料金を支払ったり」する際に、クレジットカードや電子マネーによるキャッシュレス決済を順次導入すると発表しています。
その他にも、宅配運賃の支払いがキャッシュレスでできるようになるので、訪日客が自国に荷物を発送する際の利便性を高めることに繋がります。
もちろん、見据える先は2020年の東京オリンピック開催ですよね。
さて、今後参入予定のQRコード決済にはどのようなものがあるのか、一通り見ておきましょう。
名称 | 企業名 | 概要 |
---|---|---|
PayPay | PayPay株式会社(ソフトバンク・ヤフーの合弁会社) | 中国の「Alipay」とサービス提携。2018年の秋から本格的にサービスを開始する。 |
りそなウォレット | りそなグループ | 「はまPay」等他の金融機関のサービスと相互に利用可能になる予定。 |
ゆうちょPay | ゆうちょ銀行 | 上でも紹介した「はまPay」や「Yoka!Pay」など既存の銀行Payとも連携し、2019年2月を目途にサービスを開始する予定。 |
Bank Pay | メガバンク3社 | 三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3社がQRコードの規格統一に向けて合意。 |
サービスを提供する企業が増えれば、利用者にもお得なことが増える一方で、
サービス体系が乱立すると、かえって分かりづらくなる可能性も秘めているのが日本のQR決済の現状となっています。
まさに新たなサービスが生まれる初期段階の状態です。
次第に参入してきている銀行系も、各金融機関で同じように利用できなければ普及しないでしょうし、IT系でも既存の同じようなサービスは統合していく方が、利用者も使いやすくなるのではないでしょうか。
まずは、日本国内での利用者普及を進めるためにはどうすればよいか、を模索していく必要があるかもしれませんね。