会社を起ち上げた経験のある方はご存知だと思いますが、
法人登記をする際には、登記する会社の所在地となる「住所」を決めなければなりません。
自宅の住所を会社の本社住所にもできるので、
社長(自分)の自宅住所と会社の住所が同じ、というパターンも当然ありえます。
これは工務店や設備関係の会社などに多く見られるかもしれません。
自宅と併設して会社用のプレハブを置いたり、自宅の一部を会社のオフィスのようにして改装したり
自分の持ち家や敷地であれば、ある程度好きなように自宅をデザインできます。
一方、戸建てでもアパートの一室でも、借家や借地でも会社の場所として設定できます。
今では何千人と多くの従業員を抱えた大企業が、そのスタートを狭い間取りのアパートの一室から始めた・・
なんて話もよく聞かれますよね。
しかし借家だと、どうしても自宅をデザインする難しさに直面します。
自社に来客する機会が全くない業務であれば、
本当に登記上だけのために、借家の自宅を会社の住所として設定しておいても問題はないでしょう。
都会では難しいかもしれませんが、
ここ、北海道のように一件一件の敷地が広い場合には、
借家であっても駐車スペースや庭の広い家が多いため、
戸建てであれば、駐車場などにプレハブを置いてしまうのも一つの手となりますね。
ただ、来客もあり会社オフィスとしての形を整える必要があるのなら、
借家の場合は、その限界をあっという間に感じてしまいます。
さて、そんな借家から始めた会社でも、
順調に売り上げが伸びて業務拡大ともなれば、新たに自社所有の土地を買ったり家やビルを買ったりなどのステップを踏んでいかなければなりません。
首都圏などの都会であれば、建物なり土地なりは非常に活発に売買されているでしょうから、
不動産会社に相談をすれば目ぼしい物件はすぐに見つかるんでしょうけれども・・。
しかし、そうは問屋が卸さないのが地方の土地・建物事情なのです。
埋もれている土地は山ほどある?!
自分が今、北海道にいるのでこの地で経験したお話を書きますが、
だいたい「田舎」と呼ばれる各地方には、様々な土地が売買されています。
土地というよりは、土地の種類、いわゆる「地目」が色々あります。
おそらく首都圏ではあまりお目にかからない「山林」だったり、「農地」だったり「原野」だったり、それこそ「山林」だと「ha(ヘクタール)」サイズで売られている場合もあります。
地目が「農地」だと農業従事者を予定している人に売られるため、会社の事務所を建てるという名目だけでは買えなかったりします。
会社の業種によっては、ちょっと奥まった人里離れた場所に広い敷地が欲しい、という経営者の方もいるかもしれませんが、市町村の「都市計画区域外」に入ってしまうと、上下水道が通っていなかったり、電気を敷地まで引くのにお金が掛かったり、という場合もあります。
また、購入しようとした土地が「市街化調整区域」だと、”建築不可”という条件があったりして、家などの建物はもちろん、会社の簡易事務所としての「プレハブの設置」もできなくなります。
(ただし、すぐにどかせるものであれば指摘されない理由から、平家ですぐにトラックで移動できるようなプレハブを置いている人も田舎では普通にありますけどね・・)
そんな色んな土地が売られている地方ですが、実際に不動産会社によって売買物件として公開されているのは実は”1割ぐらい”かもしれないのです。
それは、なぜか・・・というと。
そう、”売れないから”です。
土地の持ち主からしてみると
「こんなところ買いたいと思う奴なんかおらん」
という気持ちがあるのです。
同様に、売り側の不動産会社も積極的に売主を探して土地を売ろうという気がありません。
それは、もちろん「こんなところ買いたいと思う奴なんかおらん」の気持ちがあるからです。
土地の持ち主は、ほとんどが相続などで先祖代々引き継いでしょうがなく持っている場合が多いのですが、”面倒くさいから固定資産税だけ払っておいて後は放置”と積極的に売る気がないために、不動産情報としては上がってこないのですね。
そのため、土地を探している人にとっては不動産情報に載っている土地では納得のいく場所が見つからず、自分なりに捜し歩いてようやく”ここだ!”と見つける場合もあるのです。
さて、この場合どうやってこの土地の売主を探したらよいのでしょうか。
ここで必要となるのが、「地番の確認」になります。
地番を調べるには・・
この場所を売ってほしい!
と自分でその土地を見つけた場合、そこから先の処理を付き合いのある不動産会社に相談するのは、もちろんアリです。
しかし、実は地番を調べればその地番の登記情報を取得して持ち主を特定するのは簡単にできてしまいます。
法務局には、管轄する土地の地番を示した地図、いわゆる
「ブルーマップ」
というものが置かれています。
ブルーマップとは、ゼンリンが販売している「住居と地番などの公図を同時に確認できる地図」となります。
以下は、ゼンリンのサイトに載っているブルーマップの説明文となります。
住宅地図の上に、公図に基づく公図界、公図番号、地番をブルーで記入。
都市計画用途地域名、用途地域界、容積率、建ぺい率(一部の地区は日影規制・高度規制)も併記。
B4判サイズの冊子版・ファイル版をご用意。
発行される地域は限られているため、法務局が管轄するすべての地域のブルーマップがあるわけではありませんが、自分で発掘した土地の情報を自ら調査するなら、まずは法務局に行って地番を調べる必要があるでしょう。
先にも書いたように、希望する地域のブルーマップが必ずあるわけではないので、ない場合は窓口などで確認します。
そして、希望する土地の地番が判明したらその地番の登記情報を取得します。
全部事項でも所有者事項でも好きな情報を取得できます。
この手順を踏めば、土地の持ち主が判明しますので、持ち主の自宅へ直接交渉に伺う方法も採れるわけです。
しかし、持ち主に売る気がなかったり、金額が折り合わなかったりした場合は、
また一から土地探しをして、見つかったら法務局で地番を調べて・・
と、同じ手順を繰り返します。
そうなると頭をよぎるのが
”毎回法務局へ行くのは面倒くさいなぁ・・”
という思いです。
そこで使いたいのが、ブルーマップの地番調査から登記情報の取得までを自社もしくは自宅のインターネット上で完結できる
「JTNマップ」というサービスになります。
JTNマップとは
「JTNマップ」は、基本的に法人での利用申し込みが必要となります。
士業に従事している人を除いて、個人での利用はできません。
利用料金の支払いは、口座振替となるので口座振替依頼書を受理されて以降引き落としとなりますが、
もし、それまでに利用した場合は利用者宛に請求書が送付され、利用者が自分で振込先口座へ入金しなければなりません。
通常の住所表示と地番による表示を同じ画面で確認できます。
日本全国を網羅しているので、自分の住居エリア以外でも土地情報を探せるようになっているのです。
総括
今回は、不動産や測量など多くの会社さんで利用されている「JTNマップ」というサービスの紹介でした。
当サイトの管理人が、少し広めの土地を取得する必要に迫られた時に、
JTNマップを使った経験から、今回のお話となりました。
登記情報を取得するためにはもちろん料金が発生しますが、
JTNマップで、表札名がいらないブルーマップの閲覧であれば、月額の利用料金は0円となります。
JTNマップで登記情報を調査していくと、たまに市町村などが持っている物件を拾ってしまう場合もあります。
仮に”その土地がどうしても欲しい”、と市町村に持ち掛けると、
物件を取得したい側は利用目的などの説明をしたり、市町村側は議会で決を取る必要があったりするので、
手続きなどでとても時間を要します。
そういった場合は、不動産会社と連携して物件取得に向かった方が無難だと思います。
また、土地や住居などを探す際の他の方法としては
「競売物件を探す」
のも手ですね。
これは、裁判所で公開されている競売物件を閲覧するか、
以下のサイトで目的の地域の競売物件を閲覧します。
競売物件でも特に住居に関しては、裁判所で資料を閲覧すると、生活感漂う写真がたくさん載っていたりします。
まぁ、差し押さえられた訳あり物件ですから当然と言えばそれまでですが・・・。
通常の物件よりは、金額が少し安めに設定されているので、
物件探しで見つからない場合は、このような競売物件を覗いてみるのもいいかもしれませんね。