法人なんですけど、社内の通信費を見直したいんですよねぇ・・・
外出している社員が連絡を行ったり、外出先でメールや社内文書などにアクセスしたりなど、
社内用の携帯電話を複数台契約して、社員に貸し出ししている会社は多いと思います。
そんな法人にとって、頭の痛い問題と言えば、そう
「膨大な通信費」
ではないでしょうか。
ここでは、格安SIMや格安スマホを提供しているMVNOの中でも、
「法人向け」
としてのサービスを提供している以下の事業社について、色々比較してみたいと思います。
mineo(マイネオ)
mineoでは、法人契約を行うことで、「企業管理ページ」で社員の使用状況や通信プランの変更を簡単に行うことができるようになります。
月額料金
個人で契約した場合、法人で契約した場合と共に契約プランによる月額料金に違いはありません。
パケットシェア
例えば、社内にDプラン(ドコモ)、Aプラン(au)が混在していても、各社員同士で余ったパケットは分け合えることができます。
もちろん、追加チャージも個人契約と同様、150円/100MBでできる上に、
企業管理ページで簡単に容量の変更やチャージを行うことができます。
音声通話
法人契約でも、音声通話を利用することが可能です。
個人契約と同じように、「090」から始まる電話回線網と「050」から始まるIP回線網の2種類があります。
【090から始まる電話回線網を利用する場合の比較】
契約種別 | 個人契約 | 法人契約 |
---|---|---|
料金 | データ通信料金+610円(auプラン) データ通信料金+700円(ドコモプラン) |
データ通信料金+610円 |
通話オプション | 5分かけ放題 通話定額 |
なし |
MNP(ナンバーポータビリティ) | 利用可能 | 利用可能 |
【050から始まるIP回線網(LaLaCall)を利用する場合の比較】
契約種別 | 個人契約 | 法人契約 |
---|---|---|
名称 | LaLaCall | ビジネスLaLaCall |
料金 | 月額100円 | 月額500円(5番号まで) |
通話料 | 一般加入電話 8円/3分 携帯電話 |
個人契約と同じ |
各機能 | ・留守番電話 ・LaLaCall契約者同士でのトーク ・トクトク機能 |
・留守番電話 ・転送機能 ・社内チャット ・LaLaCall専用連絡先 ・050発信分の一括請求 ・各電話番号の通話明細発行 ・紛失時の遠隔操作による情報漏洩対策 |
VPN接続
mineoの法人契約の中でも、個人が利用する環境とは画一的に違う環境を提供するサービスが、このVPN接続による社内ネットワークの構築になると思います。
「VPN」とは「バーチャル・プライベート・ネットワーク」の略ですね。
社内や一拠点の中だけを接続する「プライベート・ネットワーク」同士を「専用ルーター」でネットワーク接続することによって、例え離れた場所にある拠点間でも、データなどのやり取りを行うことができるようにする手法です。
上の図のような構築の片側が、「mineo網」で構築されると思ってください。
そして、このmineo網は、インターネット上から接続できず、特定の通信経路(VPN-SIMが挿入された特定の端末のみ)しか許可しないため、社内間だけなど安全なインターネット接続を提供してくれるのです。
mineo網をクローズドな環境にすることで、
外出先の社員がその場で会社のファイルサーバーへアクセスしたり、
SOHOワーカー達が自宅から会社サーバーの情報を得たり、
と、安全に内部ネットワークのようにデータをやり取りすることが可能となるのです。
そして、利用料金はと言うと・・・
「VPN-SIMが挿入された各端末を使う利用者が、mineo網に接続するための料金」
「利用者のネットワーク拠点(例えば本社で構築しているネットワークなど)とmineo網をVPN接続するための料金」
が月額で発生します。
さらに、「VPN環境を構築するためのVPNルーター」のような機器も別途必要となります。
もちろん、インターネット上のすべての通信の中から、特定の経路による通信だけを許可することを
ネットワーク拠点(本社で構築しているネットワークなど)のVPNルーターに設定することも可能ですが、
「万全なセキュリティ対策」や、「ネットワークトラフィックの監視」、「ウィルス対策」など社内のネットワーク管理者が膨大な労力を抱えることになります。
それであれば、インターネット上のすべての通信から接続させない、特定の端末からのみ接続できる「mineo網」であれば、
この「mineo網」から自社ネットワークに接続してきた通信はすべて安全である、と考えることができますので、
ネットワーク管理者の管理体制が大幅に緩和される、ということになるのです。
いわば、セキュリティ対策に対してお金を払う、ということですね。
月額の利用料金や機器導入、初期構築など少し高度ではありますが、
不特定の外出先から接続することが多い会社や、SOHOワーカーとのやり取りが多い会社などは、構築する価値があるかもしれません。
M2M/IoT
mineoでは、「M2M」や「IoT」によるネットワーク接続のために、料金がオトクなコースも用意されています。
さらに、固定IPアドレスも使えるので、特定の機器に固定IPアドレスを割り振ることによって、インターネットが使える環境であれば、外部からその機器に対してどこからでもアクセスができるようになります。
■上り高速コース
例えば、
「人が部屋に入室すると、その人感を読み取って、窓につるしたブラインドが自動的に開く」
など、ネットワーク通信によるセンサー情報の受信と機器(この場合のブラインド)の制御と言った、常に一定の通信量が発生する場合には、この「上り高速コース」がお勧めです。
上りは常にLTE通信が可能で、500MB/月です。
容量を使い切ったら、追加チャージもできます。
■夜間専用コース
例えば、
「社内で利用しているデータベースサーバに貯めたデータをスケジューリングで夜間にだけ、バッチ処理してバックアップしたい」など、夜間にだけ通信が必要な場合はこのコースを選択してください。
「上り高速コース」と違い、通信可能な時間帯が「22:00~6:00」までとなります。
通信速度は、この時間内であれば上りも下りも常にLTE通信となります。
この2つのコースを選択した場合、2回線以上契約すると「複数回線割引」が適用されるのも特長です。
セキュリティ対策
クライアントのセキュリティを守る「ESET」が提供されています。
対象となるOSは、「Android」「Windows」「Mac」の3種類となります。
1台だけなら「180円(税別)」、5台で「500円(税別)」となります。
ウィルスやスパイウェア対策はもちろんのこと、
スマホの場合にありがちな「紛失」や「盗難」の場合でも、遠隔操作でデータの消去などを行うことができます。
海外出張に使えるプリペイドSIM
海外へ出張や旅行に行く場合に、渡航先でSIMカードを購入することが不安だったり、サポートが外国語では不安だったりする場合もあるでしょう。
「mineo」では、「海外用プリペイドSIM」の販売も行っています。
日本にいる間にSIMカードをセットできる上、挿入するSIMフリースマホが渡航先のネットワークで利用できるのであれば、そのまま使うことができます。
つまり、普段と変わらない環境でスマホを利用することができるというわけです。
しかも、利用する高速通信量は何度でも購入することができます。
名前の通り前払い(プリペイド)なので、自分の予定にあった容量を設定し、後から好きなように容量を追加することができるわけです。
そのため、最初に通信容量を少なく設定していても、問題ありません。
利用後1年間に一度もチャージがされないと、一旦無効となりますが、
また海外へ行くことになった場合、同じSIMカードを再度有効にすることもできます。
SIMカードを買い直す必要がないので、大変便利ですね。
BIGLOBEモバイル
申し込み前に
「BIGLOBEモバイル」は、お試し期間として1週間、
「データSIM」と「スマホ」の貸し出しを行っています。
企業情報や利用予定回線数などに答える必要がありますが、
利用予定回線が多ければ多いほど、優先的に貸し出ししてくれるようです。
もし、現在使っていないスマホがある場合には、そのスマホを利用することができるかもしれません。
(※動作確認済み端末で確認してみてください)
ドコモのスマホであれば、SIMロックの解除が必要ないので、動作するかどうかをこの貸出期間で確認してみるといいでしょう。
また、「法人格」を持たない任意の団体でも申し込むことができるので、
団体で利用したい場合には、審査を受けるためにまずは問い合わせをしてみましょう。
料金プラン
料金プランは、個人契約の場合と違い、若干安くなります。
※料金は税別です
プラン | データ通信SIM | 音声通話SIM |
---|---|---|
音声通話スタート(1GB) | なし | 1,200円/月 |
3GB | 700円/月 | 1,400円/月 |
6GB | 1,250円/月 | 1,950円/月 |
12GB | 2,500円/月 | 3,200円/月 |
20GB | 4,300円/月 | 5,000円/月 |
30GB | 6,550円/月 | 7,250円/月 |
音声通話SIMの最低利用期間は、12ヶ月となります。
途中で解約すると、別途契約解除料が発生するので注意が必要です。
個人契約で使える「通話オプション」は、この法人契約でも同じように使うことができます。
・通話パック60
・3分かけ放題
料金プランは、利用者にとって色々なプランを選択することができますので、組織の利用状に合ったプランを選択するとよいでしょう。
管理画面
法人契約の場合、管理者が契約しているSIMカードの一覧を画面で確認することができるようになります。
スマホの紛失による、利用停止など管理画面から簡単に行うことができます。
また、料金プランの変更や通話オプションの申し込みなども管理画面から行うことができるので、法人で利用する場合にはある意味必須の機能と言えるでしょう。
M2M/IoT
「BIGLOBEモバイル」にも、「M2M」や「IoT」に対応した契約プランがあります。
■ライトSSプラン
解析データ収集や通信ログ収集など、テキストデータベースのやり取りが多い場合には、このプランを選択してみるといいかもしれません。
公表していませんが、一定の基準量までは常に高速通信が使えます。
通信速度は、256kbpsと低速ですが、利用環境によるコストパフォーマンスは最適になると思われます。
・・・少し歯切れが悪い言い方となっていますが、
実は、BIGLOBE側でこのプランの料金を公表していないのです。
料金確認は、実際に利用する方が問い合わせした場合のみ、ということになりそうですね。
■上り高速・下り低速の大容量プラン
例えば、監視カメラで集めた動画データをサーバーにアップロードする
と言う時には、上りに高速で大容量のデータが送れたプランの方がいいですよね。
上りの通信速度が50Mbpsで、高速通信容量が70GBや100GBと言ったプランも提供されています。
70GBで「4,750円/月」
100GBでも「6,250円/月」
と、料金も非常に安くなっています。
■帯域契約プラン
BIGLOBEが持っている通信帯域の中で、自分の組織だけが利用できる帯域を確保してもらうプランとなります。
余計な通信トラフィックがないため、通信が安定します。
上りが1Mbpsで下りが256kbpsという一番速度の遅いプランでも、月額「250,000円」となります。
これは、専用帯域を使用する料金であり、それとは別にSIMの料金と、BIGLOBEオフィスサービス料金が発生します。
なお、最低利用期間は12ヶ月となっていますので、それ以前に解約した場合は、契約解除料が必要となります。
楽天モバイル
「楽天モバイル」も、法人契約がありますが、「mineo」や「BIGLOBE SIM」と比べると、法人に特化したサービスと言うのは少ないように感じます。
料金プラン
個人契約、法人契約とも月額の料金プランは同じです。
最低利用期間は1年となりますので、それ以前に解約すると契約解除料が発生します。
契約者間で、余ったデータをシェアすることができます。
音声通話SIMを契約した場合の通話オプションは、法人契約オリジナルとなります。
専用アプリである「0037ダイヤラー」を使った「通話定額プラン」は3種類あります。
(※金額は税別です)
通話定額プラン名 | 月額 | 定額分/th> |
---|---|---|
プラン600 | 600円/月 | 通話時間60分(1,800円分) |
プラン1200 | 1,200円/月 | 通話時間約133分(4,000円分) |
プラン1800 | 1,800円/月 | 通話時間約216分(6,500円分) |
定額分を超えると、「30円/1分」の通話料となります。
これは「0037ダイヤラー」アプリを使用するか、アプリを使用ない場合に「003766」を頭に付けて発信した場合となります。
アプリを使わず、「003766」を頭に付けずに発信した場合は、「20円/30秒」の通話料が発生します。
つまり、定額分を超えた後は、30秒以内の通話であれば
”アプリを使わない”
”003766で発信しない”
方が、通話料20円とオトクになってしまうということですね。
(アプリを使うと逆に30円となってしまう・・)
海外SIM
「mineo」では、法人契約の中に
「海外で使えるプリペイドSIM」
がありましたが、「楽天モバイル」の法人契約には海外SIMの対応がありません。
逆に、海外SIMを利用するのであれば、個人契約であれば利用できます。
NifMo
申し込み前に
「NifMo」は、お試し期間として1週間、
「データSIM」の貸し出しを行っています。
「BIGLOBE SIM」と違い、スマホの貸し出しは行っていないようです。
料金プラン
個人契約と料金は同じですが、法人プランには「1.1GBコース」が存在しています。
「法人シェアコース」を利用すれば、同一契約内で複数のグループを作成することができます。
各部署単位に分けて、それぞれの部署でデータ容量を決め、データ容量をシェアすることが可能となります。
余ったデータ容量は、次の月へと繰り越しができるので効率よく通信を行うことができます。
通話オプション
個人契約であった「IP電話」や「10分かけ放題」といったサービスはありません。
法人の場合、「NifMo半額ダイヤル」のみが利用できます。
専用アプリを使うことで、「20円/30秒」の通話料が、「10円/30秒」となります。
M2M/IoT向けプラン
「NifMo」でも、M2MやIoT向けのプランが用意されています。
■スタートプラン
スタートプランは、上りも下りも低速通信となります。
ログ収集などのテキストデータのやり取りが中心のプランとなります。
月間での通信容量が「2.1GB」となりますが、月額料金は480円と非常に安くなります。
■上り特化プラン
監視カメラの画像や動画など、容量の大きいデータを集めるのに特化した上りが高速通信のプランとなります。
「1.1GBプラン」と「10GBプラン」の2つが用意されています。
■夜間特化プラン
夜間に集中して、データログを収集するなど、夜間だけ高速通信となるプランです。
「22時~6時まで」が夜間の範囲となります。
まとめ
法人契約でしか提供されていないサービスもあり、個人契約とは違いを打ち出しているMVNOがある一方で、
法人契約そのものがないMVNOもまだまだたくさんありますね。
「法人契約もできます」と言ってはいるものの、本当に契約名義だけしか法人にできず、それ以外に特に何もサービスを用意していない場合もあります。
法人で利用する際には、おおよそ上記で示してきたような順番がサービスの充実している順番になるかな、と思っています。
とりあえず、以下のような形でまとめてみました。
法人契約の記載があるMVNO
記載があるだけで特に法人向けのサービスがあるわけではないMVNO | ・X-mobile 料金プランやM2Mの記載はあるが、個人契約プランと同じ ・DTI SIM ・イオンモバイル |
---|---|
月額料金プランは個人・法人で同じ 通話オプションに違いがある |
・mineo ・楽天モバイル ・NifMo ※NifMoは、個人契約にない1.1GBサービスがある |
SIMカードの試用期間がある | ・BIGLOBEモバイル ・NifMo |
M2MやIot向けの料金プランがある | ・mineo ・BIGLOBEモバイル ・NifMo |
VPN構築できる | ・mineo ・BIGLOBEモバイル |
海外で使えるSIMを提供している | ・mineo |
なお、「mineo」から「NifMo」までの4つのMVNOすべてで、
「有償によるウィルス対策やスパイウェア対策」のサービスを提供しています。
法人での利用を考えている方は、是非参考にしてみてください。