「Office365 Business」を契約すると、もらえるOneDriveの保存領域は「1TB」と大容量です。
しかし、HDD容量なら「500GBから多くて1TB」、SSDなら「256MB」ぐらいなど、
今のパソコンの保存領域のスペックを見ても、
OneDriveに、目一杯1TBのデータが溜まってしまったら、そのすべてをパソコンに同期するのは難しいのでは・・
という気がしませんか?
これまで、OneDriveではこういった同期の問題を解消する方法として、
「フォルダーの選択」
という機能がありました。
これは、パソコン上のフォルダと同期するクラウドフォルダを限定する方法で、それほどアクセスしないものについては、「フォルダーを選択しない」つまり「同期をしない」という考えでした。
つまり、同期するデータはパソコン上の実際の保存領域を使って保存し、
保存領域を使いたくなければ「フォルダーを同期しない」ということであり、
利用する側にとっては
「必要なデータと必要ではないデータをあらかじめ区別しておく必要があった」のです。
そこで登場したのが、「ファイルオンデマンド」という機能です。
目次
ファイルオンデマンドを使ってみる
ファイルオンデマンドを使うためには、まず、次の2点を満たしているかどうを確認する必要があります。
Windows10Fall Creators Update(バージョン16299.15以降)
OSがWindows10で、
WindowsUpdateにより、「Fall Creators Update(バージョン16299.15以降)」が適用されているかを確認します。
「Windows」ボタンを右クリックし、一覧から「システム」をクリックします。
左サイドメニューの「バージョン情報」をクリックし、右ペインで「Windowsの仕様」を確認します。
OneDrive(ビルド17.3.7064.1005 以降)
パソコンにデスクトップ版OneDriveアプリがインストールされていることを確認します。
ステータスバーにある「OneDriveアイコン」を右クリックして、「設定」をクリックします。
「バージョン情報タブ」で、現在のOneDriveアプリのバージョンを確認します。
ファイルオンデマンドを使う前の使用容量を確認
条件が揃っていれば、「ファイルオンデマンド」を使用することができますが、
私の環境で、ファイルオンデマンドを使う前、つまり今までのフォルダー選択だけで管理していた場合の使用容量を確認してみます。
1TBの内、フォルダーの選択で絞って絞って現在4.2GBぐらいを同期しています。
つまり、パソコンのHDDも4.2GB分は、「OneDriveの同期のために容量を取られている」ということになります。
ファイルオンデマンドを設定する
設定の「設定」タブで、「ファイルオンデマンド」にチェックを付けるだけです。
クラウドで保存しているデータ容量によって処理時間は変わってきますが、
順番にフォルダに付いていた表示が変化していきます。
フォルダの中に何もファイルがない場合は、そのフォルダは
「雲のアイコン」
がつきます。
それ以外のフォルダは、ファイルの同期が完了していくと
「チェックアイコン」
がつきます。
この段階では、パソコン上にファイルそのものが存在し、
クラウドと同期をとっています。
つまり、ファイルオンデマンドを使う前とあまり状況は変わっていません。
パソコンの空き領域を増やす
ファイルオンデマンドを設定したパソコン上のOneDriveフォルダで、
ファイルそのものを削除し、ファイル情報だけを残してみます。
つまり
「チェックアイコン」から「雲のアイコン」への変更、ということになります。
OneDrive内でも、容量を使っている「3.45GB」の「素材集」フォルダを処理してみます。
「素材集」フォルダで右クリックして、一覧から「空き領域を増やす」をクリックします。
処理するファイル容量やパソコンのスペックによっては、少し時間がかかる可能性があります。
処理が完了すると、OneDriveアプリが自動的に再起動します。
「雲のアイコン」にする、ということはパソコン上にファイルの情報だけを残し、パソコンの空き領域を増やす作業でした。
パソコンの画面上では、フォルダの中にファイルがずらっと並んでいるので、実際にパソコンの中に保存されているようにも見えます。
しかし、ファイルそのものは、クラウド上にしかありません。
ということは、つまりインターネット接続ができない環境では、「雲のアイコン」の付いたファイルは開くことができない、ということになります。
これを防ぐには、以下のように、「常にパソコンに保存する」の処理をします。
常にパソコンに保存する
いついかなる時でも、パソコンとクラウド上のファイルを同期する設定もできます。
この場合、オフラインでもパソコンでファイルを編集でき、オンライン環境に戻った時に自動で同期が開始されます。
「【お金】」というフォルダは、経理に関するフォルダなので、常にパソコン上にあるようにしておきます。
フォルダを右クリックして、一覧から「このデバイス上で常に保存する」をクリックします。
フォルダに付くアイコンが、「緑に白のチェック」アイコンとなります。
このアイコンがついたフォルダは、その中のファイルが常にパソコンとクラウド上と両方に存在しています。
常にファイルそのものがパソコンの中にあるので、ローカルストレージも使う一方、オンラインでもオフラインでもインターネット環境に関係なく、ファイルにアクセスでき、オンラインであればクラウドとすぐに同期されます。
雲のアイコンのファイルを編集する
この「雲のアイコン」が付いたファイルの編集が、
「ファイルオンデマンド」の新しい保存の流れとなります。
これは、ファイルそのものがクラウド上にだけあって、パソコンにはファイル情報だけが格納されている状態のことでした。
このファイルを編集するには、絶対的な条件がありましたね。
そうです。
インターネットへの接続環境が必要ということです。
もし、仮に新幹線などに乗っていて、長いトンネルの中に入ってしまったら、
このファイルを編集することはできないかもしれませんね。
インターネットへの接続を条件として、
このファイルを開くと、まずパソコンのローカルストレージに保存されます。
ファイルサイズが軽ければ、あっという間にファイルに付くアイコンが変化します。
「EA-災害対策.txt」という「雲のアイコン」のファイルをダブルクリックで開くと、
ローカルストレージに保存されたため、「チェックアイコン」へと変更になっています。
これは、例えそのファイルを編集せずに保存操作が発生しなくても、ローカルストレージに保存されます。
もう一度、クラウド上だけにあるファイル、つまり「雲のアイコン」に戻すには、
該当のファイルを右クリックして、「空き領域を増やす」をクリックする必要があります。
再度パソコンで占有するOneDrive領域を確認
さて、それでは、ローカルストレージを占めるOneDriveの容量をもう一度確認してみましょう。
「素材集フォルダ」をクラウド上に上げた、つまり「雲のアイコン」にした結果、
ローカルストレージの容量は以下のようになりました。
3.5GBくらいローカルストレージに空き容量ができました!
総括
「クラウド上だけ」、「ローカルで利用するファイル」、「ローカルで常に利用するファイル」など慣れないうちは、この関係性がよく分からないかもしれませんが、使っていくうちにすぐに慣れると思います。
クラウドのみのファイルにすると、ローカルストレージの容量が確保される一方、
クラウド上だけのファイルを編集した後に、また「手動でクラウド上に戻す手間」もありますが、
「Office365 Business」を契約し1TBの保存容量がある場合、さすがに全部をローカルストレージに保存して常にすべて同期をとっておくのは、得策ではないですよね。
個人などの利用でOneDriveで使用できる領域が少なければ、「ファイルオンデマンド」そのものを使わなくてもいいかもしれません。
「ファイルオンデマンド」を使える環境が整っていて、
保存容量が逼迫している会社さんであれば、検討の余地はあると思います。