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コロナウィルスによって、良くも悪くも生活や働き方に急激な変化が生じてしまったわけですが、コロナウィルスの発生と同時に突如として現れた(ような)「リモートワーク」という働き方が注目を浴びました。
当サイトでは、「リモートワークが素晴らしい」とは全く思っていないので、直近2年間ほどを見ても特にこれらに関する記事を一切書いておりません。
今回は、少し「リモートワークの正体」について考えてみたいと思います。
目次
さぼりは許されない?!
「リモートワーク」と言えば、自宅に一人・・・いや独りでWebカメラ搭載のパソコンと向かい合う姿を想像してしまいますよね。
突然、集団から離れ、自宅という狭い空間に孤独を感じながらも、これまでと同じように仕事は継続していかなければならない環境に放り込まれたわけです。
自宅からネットワーク経由で会社の資源にアクセスはできるものの、”自宅で休んでいるのではないか”と他者から疑われ、”仕事にならないのではないか”と自身が疑心暗鬼となり、それでも手探りながら何とかリモートワークでもやっていけそう、と考えられる企業も増えてきたのではないでしょうか。
そういったリモートワークを助けてくれるツールの一つに「バーチャルオフィス」があります。
圧倒的に導入量が増えた「ビデオ会議ツール」よりは導入件数は劣りますが、企業の総務関連の立場から考えると、自社に導入してほしいITツールとして人気が高いのも事実です。
オンライン上で、集まっているメンバーを可視化できるスペースを用意し、お互いの動向や発言などのコミュニティをオフライン環境と同様に行える空間
プライベート空間では多くのサービスがあったものの、コロナ禍でビジネス環境での普及も進む
バーチャルオフィスを利用すると、お互いがお互いの状況や行動を確認し合うのも容易となります。
同じ空間に居れば、近くの人に声をかけるのも簡単です。
そう、つまり”さぼる”のも容易ではない、というわけですね。
バーチャルに集まる..その問題点は?
「バーチャルオフィス」に移行するには、システムを利用できる環境さえ用意すればOK・・・
というわけには行きません。
なぜなら、リモートワークにおける「バーチャルオフィス」の利用場所は自宅がメインとなるからです。
本来、社内や自社の拠点間VPNなどのクローズドな環境で使われていた「Web会議ツール」もリモートワークによって、自宅からシステムへのアクセスが必要となりました。
すると何が問題となるのか…
- 自宅のパソコンのスペック
- 自宅のネットワーク環境
これらが挙げられるでしょう。
Web会議やバーチャルオフィスを利用する上で、Webカメラやヘッドセットなど映像や音声などの情報を相手に届ける必要から自宅内の環境を整備しなくてはなりませんでした。
もちろん、元々このような環境が揃っていれば問題ないのですが、古いパソコンや通信速度の遅いルータなどを使っている場合、自宅環境の再構築が必要となる場合があり、会社がどこまで負担するのかも問われるところとなります。
会社の経費で用意するのか自前で用意するのか・・・
業務のすべてを完全にリモート化できない会社などは、どこまでを保証するのか悩みはつきませんね。
しかし、どういう困難があれど「全社をあげてリモートワーク化してほしい」と願う部署の方たちも存在します。
それは、総務関係に就いている人たちです。
総務で働く人はリモート化を望む
総務関連で働く社員の方は、他の部署の社員が出社すると、自分たちも同様に出社する必要が出てくるので、「バーチャルオフィス」などの導入によって「会社全体のリモート化への移行」を強く望む傾向にあるでしょう。
他部署でリモートワークでの導入の要望が多い「Web会議ツール」や「ビジネスチャット」、「労務管理」などの売上を上げるためのリモートツールとは違い、総務がリモートワークのツールでまず要求したいと感じるシステムが「電子契約」になります。
自社内の電子化によって、費用削減を目指すリモートツールを求めるわけですね。
つまり、営業部隊が社内に持ち帰る契約書などの取引文書で必要な「押印」がシステム化されれば、自分たちもリモートワークへ移行できる、というわけです。
しかし、社内の「電子契約」による押印システムを導入するにあたって、壁となるのが実は取引先の会社となります。
”自社全体がリモートワークへと移行しました。しかし、取引先が電子契約書ではなく紙でください、と言っている…”
そうなると、いくら「電子契約」、「電子印鑑」などと言っても、リモートワークは成立しなくなるわけです。
自社の完全なるリモートワーク化は、取引先の環境も影響するのです。
押印するために出社?
「電子契約」で必要となる押印、つまり電子印鑑は、当然社内文書でも必要となります。
その最たる文書が稟議書や、精算などの「電子決裁」となるでしょう。
総務の人たちは、社内稟議書の押印の手間だけでなく、現在どこまで回覧されているか、どこで止まっているかなどを素早く確認するためにも「電子決裁システム」の導入を求めるでしょう。
「電子契約」、「電子決裁」は導入後の運用面でハードルが高くなりますが、社内の他部署もしくは取引先がすべてリモートで対応してくれるようになると、総務も完全リモート化へと邁進できるかもしれないのです。
あれっ?取引先は出社している?
取引先が出社しているのに、引っ張られて自社の社員が出社してしまうと、完全リモートワークにならない可能性もありますね。
「バーチャルオフィス」は今後、実際に出社している社員とリモートワークの社員を同時に管理できるハイブリッドが主流となっていくでしょうけれども、自社を完全にリモートワーク体制にするには、結局自社の範囲にとどまらず、取引先やひいてはビジネス界全体がこのような風潮にならなくては実現しないのかもしれません。
リモートワークという働き方
さて、ここまでリモートワークを導入した場合のツールや各部署がどのような働き方になるかなどを簡単にまとめてみました。
今回の記事冒頭で、「リモートワークは素晴らしいと思っていない」と書きました。
その理由がお分かりいただけますか。
それは、「別に無理して”リモートワーク”にしなくてもいいんじゃない?」という思いからです。
もちろん、出社する必要がなくオンライン上ですべて運営できるから「リモートワーク」で十分だよ、という会社はそのまま続ければいいと思いますし、そのような会社はコロナ以前からリモートワークのスタイルを確立していたでしょう。
何が問題なのか、と言うと「リモートワーク」がなんだか最近新しく出てきたようなイメージで、「コロナ禍の新しいワークスタイル」のように紹介されているのがよく分からないのです。
「在宅勤務」という形態は、「SOHO(Small Office Home Office)」という考え方もあったように20年も前から既にありました。
もちろん、今ほど通信速度も速くなく、パソコンのスペックも低かったのですが、データ入力や文書作成、ホームページ作成、デザイン作成、プログラム開発など1人、もしくは数人のチームを組んで在宅でも可能な働き方がありました。
現在では、ショップ運営や動画配信などスペックの向上により、バリエーションも増えましたが、個人でも企業としても、変わらず屋内だけで運営できるような仕事は昔からあるのです。
コロナ禍では名前を変え「テレワーク」や「リモートワーク」として再登板したわけですが、この「リモートワークの推奨」と謳われる裏側で何が起きているかと言うと、それは「雇用の破壊」に他なりません。
大勢で集まらないように、密にならないように、というコロナウィルス感染防止を名目として、実態は以下のような目的があるわけです。
- 副業推進
- 成果報酬型
- 最低賃金の引き下げ
- 給与の引き下げ
天災・災害などの混乱に乗じて、世の中のルールを変えてしまう「ショックドクトリン(ナオミ・クラインが提唱する造語)」が、この働き方・雇用などにも深く関わってきているのです。
利を得るのは、プラットフォームを提供する側であり、その結果どうなるかというと
- 大手企業の社員でさえも給与削減、退職勧告などを受ける(成果報酬への移行)
- 給与の減った人たちが、買い手・売り手の双方からプラットフォーマーが手数料を取るシェアリングビジネスへと流れやすくなる(副業)
- 最低賃金をさらに抑えるために外国人労働者を雇用する(移民の増加と最低賃金の引き下げ)
マスコミだのその道の専門家(?)などがたれ流す「働き方改革」の裏には、それによって利を得る企業・人間の様々な思惑が潜んでいます。
「リモートワーク」や「テレワーク」が自社にとって本当に必要なのかどうか、導入するITツールが自社の顧客や自社の従業員にとって本当にプラスになるのかどうか、経営者はますます情報の取捨選択の確実性が求められるようになっていくでしょう。
総括
というわけで、「リモートワーク」の裏側にある「働き方改革」の正体について少し語ってみました。
もちろん一部分でも「リモートワーク」を導入して成果が上がった会社もあるわけですが、そういう会社の雇用形態は「コロナ以前と変わらず」というところが多いでしょう。
「リモートワーク」によって注目されたITツールを見てみましょう。
- ビデオ会議
- 勤怠・労務管理
- ビジネスチャット
- オンラインストレージ
- バーチャルオフィス
- 電子契約・電子決裁
- 転送電話
- ウェビナー
事業運営に必要なツールと最終的にはそれらを駆使するマンパワーで、現在の大変な局面を乗り切っていきたいものですね。
※[参考]緊急事態宣言時に導入したITツールは何だったのか?(豊田健一著)