2021年4月に、ネット銀行の先駆けだった「ジャパンネット銀行」が「PayPay銀行」へと商号変更しました。
「PayPay銀行」には、個人口座とは別に個人事業主や法人を対象にした「ビジネスアカウント口座」(以下、法人口座)もあり、法人口座を契約すると、ビジネスローンに申し込めるようになります。
実店舗に出向いて書類の提出や契約書を交わす必要のある大手銀行や地方銀行、信用金庫などの各金融機関とは違い、ネット銀行ならではのスピーディーな対応と予想よりも多めの限度額設定に、現在資金繰りで苦しい個人事業主や中小企業経営者の方には、救いの手となってくれる可能性が大いにあります。
ここでは、法人口座の開設やビジネスローンの申し込みにおいて、どのような流れで契約まで進めるのかを簡単にまとめていきたいと思います。
ビジネスローンの申し込み
「PayPay銀行」でのビジネスローン利用は、開業前もしくは開業したばかりであっても申し込みはできます。
「PayPay銀行」の法人向けWebページから申込内容を入力していきます。
申込内容として、「前期・前々期の売上と経常利益」の入力を求められる場面がありますが、開業前などは0と入力しておけば問題ありません。
事業規模にもよるでしょうが、申し込みからおおよそ1週間弱でローンの利用限度や利率などの返答が来ます。
※審査の結果、”利用できない”という返答の場合もあるでしょう。
ビジネスローンを利用できるのであれば、同時に「法人用の普通預金口座」を作成しておく必要があります。
法人用の普通預金口座の作成はビジネスローンの審査に通った後で求められます。
口座を既に持っている会社さんは、新たに開設する必要はありません。
ビジネスローンの入金先がこの法人口座となります。
記事執筆時点では口座維持手数料は無料となっていますので、作っておいても特に損はないでしょう。
ビジネスローンよりもむしろ次からの法人口座の作成に時間がかかるかもしれませんね。
法人口座の開設
「法人口座の開設」は、おなじくWebページ上の申込フォームに入力して申請します。
最終的にPDFファイルができあがりますので、これを印刷して紙ベースで提出します。
「特定法人」に該当する場合は、「特定取引を行う者の届出書」の記入が必要ですが、投資関連を目的とした企業でなければまず該当しません。
ただし、該当しない場合でも「特定取引を行う者の届出書」を提出する必要があります。
申込フォームに入力した内容がPDFになる時点で、この届出書も一緒に作成されます。
さらに、口座開設申込書と同時に必要になるのが、取引担当者の本人確認資料となります。
運転免許証や社会保険証、マイナンバーカードなどいずれか1点をコピーして同封します。
取引担当者が代表者以外であれば、取引担当者と代表者それぞれの本人確認資料と法人の印鑑証明書が必要となります。
会社設立から半年以上が経過していれば、会社が稼働しているかどうかの判断材料が必要になります。
自社のホームページが判断材料となりますので、持っている場合はそのURLをお知らせしておきましょう。
設立から半年未満、もしくは稼働している実態が分かるホームページがない場合、「法人設立届出書」や「青色申告書」などの書類提出が別途必要となります。
書類不備
書類が作成できたら、指定先へ郵送します。
郵送先ラベルはWebページから印刷できますので、自前で用意した封筒に書類を入れて、郵送先ラベルを貼りましょう。
無事に相手先に届くと、「口座開設申込書類到着のお知らせ」というメールで一報を知らせてくれます。
もし、作成した書類に不備があれば、「ビジネスアカウント口座開設のお申し込み不備について」というメールが来ますので、指摘された書類を作成し直して再提出します。
ここでつまずくと、書類の再郵送などに時間がかかり、せっかく通った「ビジネスローン契約の審査期限」が到来して白紙となってしまう可能性があります。
事前に郵送する書類をチェックしておくようにしましょう。
提出書類や会社実態などが審査され、問題なければ晴れて法人口座が開設となります。
万が一、法人口座開設が不可能と判断された場合は、ビジネスローン自体も白紙となります。
キャッシュカード発送
ここから先は、法人口座開設が無事に終了した方が読んでください。
と言っても、口座開設はほぼ通過するとは思いますけどね。
「まもなく口座開設が完了します」というメールが来たら、口座開設は無事に進んでいると思っていいでしょう。
キャッシュカードやトークンが自社宛に発送されます。
合わせて、取引先担当者の自宅には「取引関係文書」が届きます。
連帯保証契約同意書の作成
実は、ビジネスローンの申し込み審査が通った時点で、「ビジネスローン代表者保証の件」というメールももらっています。
しかし、法人口座開設が確定していない段階で提出しても仕方がないので、口座開設が完了した後でも遅くない、と後回しにしていたのです。
※もちろん、すでに口座を持っているならすぐに提出してもいい書類となります。
「代表者保証の契約」で送付しなければならないのが「ビジネスローン連帯保証契約同意書」となります。
これは、上記メール内に、書類へのリンクが貼ってあります。
また、合わせて以下の代表者に関係する書類の内1点も送付する必要があります。
- 免許証(変更がある場合は裏面も)
- 住民票の写し(発行から6か月以内)
- 印鑑証明書(発行から6か月以内)
送付方法は、3種類あります。
- メール
- FAX
- 郵送
郵送は時間がかかるのでおすすめしません。
FAXが一番早そうですが、「ビジネスローン連帯保証契約同意書」はPDFファイルでダウンロードできますし、代表者に関係する書類(今回は住民票)も、PDF形式でスキャンした状態のファイルが残っていたので、わたしの場合は、メールで送るのが一番手っ取り早かったです。
「ビジネスローン代表者保証の件」のメールに返信する形で、これらの書類を添付で送付するだけで完了となります。
初期設定
「キャッシュカード」と「トークン」が到着したら、電話でオペレーターとやり取りしながら初期設定を済ませます。
口座番号やトークンのワンタイムパスワードが必要となるので、「キャッシュカード」と「トークン」は手元に用意しておきましょう。
電話でのやり取りもスムーズに進めば10分から15分ぐらいで完了します。
初期設定が完了すると、「PayPay銀行」の法人アカウントにログインし、自社の現在の利用状況などを確認できるようになります。
契約したビジネスローンも、このログイン画面から利用できるようになります。
最後に
さて、今回は「PayPay銀行」でビジネスローンを申し込んだ際の流れについて見てきました。
利率は変動金利で最安2.8%、最高13.8%となりますが、これは契約する会社さんの状況や限度額などで変わってくると思います。
利率は高めとなる可能性もありますが、実際にローンを利用できるようになるまでの日数も短いですし、利用実績などで見直しもあるでしょうから、いざという時に利用できるようにしておくのは有りかもしれません。
既に法人口座を持っている場合は、ビジネスローンの申し込みだけとなります。
そうなるとWeb上での申し込みフォーム入力で完結しますので、実際にローンを利用できるようになるまでもっと時間を短縮できるかもしれません。
地域に密着した地銀などは利率は安いのですが、借入金が下りるまで時間を要す場合もあり、書類提出も何かと面倒だったりします。
個人でネット銀行を使っている方は多いと思いますが、法人でも1つ2つ口座を持っておきたいところですね。